お知らせ

2025.12.16 学会参加報告

第38回日本内視鏡外科学会総会【学会参加報告】

12月11日~13日にパシフィコ横浜で開催された第38回日本内視鏡外科学会総会に参加しました。

 

 本学会は、内視鏡手術に携わる消化器外科、婦人科、泌尿器科、呼吸器外科など、多岐にわたる分野の外科医が参加する学会であります。当教室の清水は、本学会の呼吸器外科分野において、わずか3名しかいない理事の一人を務めております。

 

 今回、当教室からは、濱中、久米田、寺田、中村、三島が演者として参加し、さらに清水および濱中が座長としての役割を果たしました。発表演題は、パネルディスカッション1演題、シンポジウム1演題、ワークショップ1演題、一般口演1演題、ミニオーラル2演題と、上級演題で3演題の採択となりました。

 

●三島修治 ミニオーラル

「S⁷ab typeに対する右肺下葉区域切除術:Base flip approachと区域間先行切離の有用性」

 

●中村大輔 シンポジウム

「ロボット支援下単純および複雑区域切除の比較:傾向スコアマッチングによる周術期成績の検討」

 

●寺田志洋 ミニオーラル

「S6区域切除における肺靭帯切離の意義」

 

●久米田浩孝 パネルディスカッション
「拡大肺切除における低侵襲アプローチの意義とクールコンバージョンの重要性」

●久米田浩孝 一般口演
「ICG蛍光法 vs 含気虚脱法:肺区域容量のズレはどの区域に現れるか?」

  

 

●濱中一敏 ワークショップ

「原発性肺癌に対する根治性と機能温存の両立を目指したロボット支援下精密肺区域切除」

 

関連病院からも志村、瀬志本が発表していました。

 

 

 

今回の学会参加報告は、ホームページ管理人の中村が担当いたします。

本年の内視鏡外科学会において、当教室からは計6演題を発表し、そのうち3演題が上級演題として採択されました。多数の発表機会を得られたことは、教室としての研究・臨床の積み重ねが評価された結果であり、大変意義深いものと考えております。

私は昨年に引き続き、シンポジウムで発表の機会をいただきました。信州大学呼吸器外科の特色であるロボット支援下肺区域切除に着目し、手技および解剖学的特徴から比較的簡便な単純区域切除と、多様なバリエーションを有する複雑区域切除について、propensity score matching を用いて周術期成績を比較検討しました。その結果、切除肺体積を可能な限り小さくすることを目的とした精密な複雑区域切除では、切除範囲が比較的大きくなる単純区域切除と比べ、術後合併症が少ない傾向にあることが示されました。本研究は、当教室が取り組んできた精緻な肺区域切除術が、安全性を担保しつつ患者さんへの侵襲をさらに低減できている可能性を示すものと考えています。

また、本学会ではトロント大学総合病院 教授の安福和弘先生による特別講演を拝聴する機会を得ました。トロント大学は、当教室同門の三浦先生の留学先でもあり、ロボット内視鏡や、より低侵襲な治療戦略について非常に示唆に富む講演内容でした。

胸腔鏡手術やロボット手術といった内視鏡手術が主流となった現在において、内視鏡外科学会という場で、私を含め複数の上級演題を発表できたことは、信州から全国へ新たな知見を発信する重要な一歩になったと感じています。今後も、来春に開催される外科学会、ロボット外科学会、呼吸器外科学会に向けて準備を重ね、より一層の存在感を示せるよう、教室一同研鑽を続けてまいります。

(文責:中村大輔)

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