診療案内

当科の診療の特徴

はじめに

呼吸器外科が、主に扱う疾患は、肺癌、気管・気管支腫瘍、転移性肺腫瘍、気胸、膿胸、縦隔腫瘍などです。
我々は、最新・最良の外科治療を長野県の皆様に安全に提供することに最善を尽くします。

がん遺伝子検査の重要性を加味した外科診療。

信州大学で手術していただいた患者様の切除検体を大切に管理・保管するシステム、および必要に応じて、その検体を用いてがん遺伝子解析検査を行い、その結果を駆使して個々の体質と癌の性質に応じた「個別化肺癌医療」ができる体制を構築しています。最近では、術後再発を抑制する目的で、がん遺伝子検査の結果をもとに免疫治療や分子標的治療を行う機会が増えています。さらに、術前や再発時の治療にもがん遺伝子検査が使われており、本システムはより一層重要性を増してきております。

肺がん治療におけるがん遺伝子検査の重要性
3DCT画像を用いてより安心で安全な手術を提供。

肺は、体のすべての臓器の中でも一番解剖学的なバリエーションが多い臓器です。特に心臓から肺に血液を循環させている肺動脈と肺静脈の走行は個人差が多く、その個人差を術前に把握しておかないと思わぬ大出血をきたす事があります。2022年より、肺区域切除が肺癌治療ガイドラインにおける早期肺癌の標準術式として推奨されています。2022年より、肺区域切除が肺癌治療ガイドラインにおける早期肺癌の標準術式として推奨されています。信州大学では、手術を受けていただくほぼすべての患者さんに対して、世界最新鋭の画像解析ソフトで3DCT画像を作成し、その画像を術前および術中に利用することでより安心で安全な手術を行っています。

3DCT画像を用いた安全・安心な手術
真の低侵襲性手術「痛くない、息苦しくならない」手術の追求。

「胸腔鏡(またはロボット支援)下区域切除」は、痛みも少なく、腫瘍を根治しながらも肺の機能を温存することができる「痛くない、息苦しくならない」真の低侵襲手術だと考えています。2022年より、肺区域切除が肺癌治療ガイドラインにおける早期肺癌の標準術式として推奨されています。信州大学では、早期肺癌や転移性肺腫瘍に対して積極的に区域切除を行っており、肺区域切除の割合は、世界トップレベルです。今は、肺癌だからといって、むやみに肺を大きく切除する時代ではありません。早期肺癌においては「痛くない、息苦しくならない」手術で治る時代です。

痛くない(胸腔鏡)+息苦しくならない(区域切除)手術
胸腔鏡区域切除の開発
信州大学が誇るロボット支援下手術。

信州大学では、最新のロボットシステムであるダヴィンチXi 2台を稼働させ、ロボット支援下の肺がんおよび縦隔腫瘍切除手術を積極的に行っております。ロボット支援下手術は、以下の3つの特徴を持ち、通常の内視鏡手術よりも繊細な操作を可能とします。

  1. 3次元モニタ表示により通常の内視鏡手術の画面に比べて遠近感のある映像が見られ、10倍程度まで拡大することができるため精細な操作が可能です。
  2. 内視鏡下手術の鉗子に比べて、ロボットアームはより精緻な動きが可能であり、人間の手と同等以上に、繊細な操作を正確に行うことができます。
  3. 手ブレ防止機能による補正がはたらくことで操作が速く正確となり、手術時間が短縮され、血管や体にかかる負担が軽減される可能性があります。

我々は、より繊細な操作を求められる肺区域切除を、積極的にロボット支援下にて行っています。現在ロボット支援下肺区域切除の手術数は日本トップレベル、また肺がん手術数においては県内一の症例数を誇っております。

信州大学呼吸器グループが誇るロボット支援下手術
手術による「根治」をあきらめない。

化学療法・放射線治療、分子標的治療など様々な治療により肺の腫瘍の部分(原発巣及びその周辺)のみが残存・再燃し、遠隔転移をきたさない患者さんに対して手術治療で根治を目指すことがあります。これが「サルベージ手術 (救済手術)」です。難易度の高い手術ですが、当科においては本術式を積極的に実施しております。様々な治療を行ったが、原発巣のみが残存・遺残したような患者様は、根治を目指せる可能性があります。

すべての呼吸器疾患の外科治療と最新治療を信州で受けられるように。

当科では、進行肺癌および進行縦隔腫瘍に対して、各領域の専門家医師が複数常勤している大学病院のメリットを生かし、他臓器合併拡大手術に加え、放射線・免疫治療・分子標的薬を外科治療に組み合わせた集学的治療を行っております。また、悪性胸膜中皮腫に対する外科治療も積極的に行っております。我々はすべての呼吸器疾患に対する外科治療を含めた最先端の治療を、この信州・長野県で受けていただけるよう、常に最新の情報を取り入れて実践しています。

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