- 2025.10.07 学会参加報告
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2025 AATS International Thoracic Surgical Oncology Summit (ITSOS)【学会参加報告】
2025 AATS International Thoracic Surgical Oncology Summit(ITSOS)での発表を終えて
AATS International Thoracic Surgical Oncology Summit(ITSOS)は、AATS(American Association for Thoracic Surgery)公式のサブサミット(Sub-summit)として位置づけられ、胸部腫瘍外科の最新知見や臨床実践を集中的に議論する場として開催されています。
2025年のITSOSの使命のひとつは、「世界中の胸部腫瘍外科のリーダーが集い、2日間の科学的交流を通じて経験と知見を共有すること」であり、私は日本胸部外科学会(JATS)とAATSによるJoint Sessionにおいて、日本代表として講演いたしました。
近年、日本の呼吸器外科は、小型肺癌に対する縮小手術(区域切除)の有用性を世界に発信したことで国際的な注目を集めています。今回は、あえてこの得意分野である縮小手術ではなく、もう一つの日本の強みであるサルベージ手術(salvage surgery)について講演し、異なる領域における日本のリーダーシップを示す機会としました。
演者は、日本の呼吸器外科を代表する渡辺俊一先生(国立がん研究センター中央病院)、鈴木健司先生(順天堂大学)、呼吸器内科を代表する立原素子先生、そして私の4名でした。会場は満席となり、呼吸器外科領域でも最も難易度の高い手術における、日本の技術力と科学的水準の高さを示すことができたのではないかと感じています。
また今回、個人的にも嬉しかったのは、信州大学呼吸器外科の「海外組」と呼べる江口隆先生、三浦健太郎先生の2名に久しぶりに再会できたことです。江口先生は本年より米国テキサス州のParkland病院でStaff Surgeonとして勤務されており、三浦先生は世界有数の呼吸器外科であるトロント大学Yasufukuラボに留学中です。お二人とも本学会で演者として素晴らしい発表をされていました。
信州大学に教授として赴任して以来、「日本一の呼吸器外科教室をつくる」という目標のもとに6年間取り組んできましたが、今回の学会を通じて、当教室が国内外で活躍できる基盤を確実に築いてきたと実感することができました。
さらに夜の懇親会では、三浦先生が所属するYasufukuラボの皆さんとともに、AATS CEOのDavid Bobbitt氏、AATS呼吸器外科領域のリーダーであるDavid R. Jones先生、そして肺移植領域の世界的権威であるShaf Keshavjee先生らと親交を深めることができ、非常に有意義で楽しい時間を過ごすことができました。
(文責:清水公裕)