- 2025.08.30 日常
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AI全盛時代のいま,私たちが気を付けなければいけない事?【第19回コラム】
第19回コラム
今回のコラムは、当教室の准教授であり、当院在籍歴最長の濱中が執筆しました。
診療科長の清水を支えながら、自ら数多くの手術を執刀し、さらに指導的助手として日々後進の育成にも尽力している頼れるスーパーバイザーです。本コラムでは、そんな濱中の貴重な一面をご紹介しています。ぜひご一読ください。
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今回のコラムを担当する濱中です.
若いつもりでいましたが,いつの間にか50歳を数年過ぎて,もともとの腰痛も慢性化し,世間の流行には置いて行かれ気味であり,,,年齢とともに時間経過が早く感じるといわれていますが(ジャネの法則と言うそうです),ますます時代の移り変わりが加速度的に早くなってると感じています.
今回のテーマは最近流行りの人工知能:AI(artificial Intelligence)です.
“人工知能”という言葉すらちょっと古臭い感じがしてしまいますが,「生成AI」「ChatGPT」などの方が若い人にはピンと来るのでしょうか?
私の世代がAIと聞くと,2001年のスピルバーグ監督の映画「A.I.」や,私が見た中で記憶に深いのはウィル・スミスの「アイ・ロボット」そしてシュワちゃんの「ターミネーター」などでしょうか.
あくまで映画,想像の世界だと思って当時は観ていましたが,最近のAIの進化やロボット開発の進化を見ていると,AIに世界を支配されるような映画のなかの物語が現実になりそうな気がして少し怖くなります.
さて,我々が従事している医学・医療の世界にもAIツール,特にChatGPTなどは急速に入り込んできています.
先日参加した学会でも,最初のスライドで「ChatGPTにイラストを描いてみてもらいましたが,全然ダメでした!」(非常にリアルな臓器のイラストでしたが,演者の要望通りの構図ではなかったようです…)とか,まとめスライドで「ChatGPTに聞いてみた○○についての要約です」と,まとめスライドがまるまるChatGPT,といったものが発表にも使用されているような有様です.
ネット検索の「ググる:Googleる」も,以前は出てきた項目を1個ずつ開いて調べていましたが,現在公開されているGoogleの“AI Overviews”では検索結果の冒頭に「AIによる概要」としてAI解説が出てくることがあります(出ないこともあります).また,ChatGPT(私は課金なしの無料版です)に「○○について,△△を踏まえて,詳しく解説して」などと質問すれば,いたって理路整然と解説してくれます.“プロンプト”といって,質問の仕方にもコツがあるようで,私はそこまで詳しくはありませんが,それでも十分わかりやすく教えてくれます.
ただし,ChatGPTやAI Overviewsが教えてくれることは全て正しいのでしょうか?もう既に少し古い記憶になりつつありますが,トランプさんが出馬した大統領選では多くの「フェイクニュース」が出回ったということがありました.ネット上には見分けのつかないフェイクニュースも飛び交っている可能性があり,AIはネット上の “ウソの情報“もその情報源として利用してしまう可能性があるようです.
最近,呼吸器・胸部外科領域の一流医学雑誌であるJournal of Thoracic and Cardiovascular Surgery: JTCVSにこんな論文が掲載されていました.
>>>肺がんに関する,患者さんからよくある30の質問に対するChatGPTの回答がどの程度正確で役立つものか?を専門医が評価したところ,多くの回答で何らかの小さな誤りを含んでおり,36.6%で重大な誤りがあった.そして患者さんの情報源としてChatGPTをお薦めできる,と答えたのは専門医の半数以下(9人中4人)だった,というものです.(Ferrari-Light D. et al. JTCVS. 169(4):1174-80.2025)<<<
近年次々と現れるAIツールは,日進月歩どころか,毎分毎秒単位の驚くようなスピード感で進化しているといわれます.上手に使いこなすことができれば素晴らしいツールであることは間違いないと思いますが,使い方には十分気を付けた方が良さそうです.
<追記>実はこの原稿は6月末に一度書き上げておりました.8-9月にホームページに掲載するとのことでしたので,(本日は8月13日です)再度読み直し,少し修正しました.
またつい先日(8月8日)ChatGPT-5が登場し,これは専門家集団並みの知能で回答し,信頼性も高まっているとのことでした.こうしてAIツールが安全性,信頼性,利便性も日進月歩で発展することに期待します.
では,最後までお付き合いいただき,ありがとうございました.
(この原稿も,ChatGPTに校閲してもらおうと思いましたが,やめておきましたので,オリジナル版です.情報の間違いや誤字脱字などがあったら済みません…)
イラスト:今の子供たちの世代が大人になる未来はどんな世界になってしまうのか?と心配になることがあります.私にとってその要因のトップ2は“地球環境”と“AI”です.ということで,ChatGPT(無料版)にイラストをお願いしてみたら「混みあっています」と描いてもらえなかったので(そもそも無料版でイラスト作成できるのか知りませんが…),別のAIデザインアプリのMicrosoft Designerに書いてもらった「地球環境とAIの未来」(プロンプトはもう少し工夫しましたが)をイメージしたイラストです(2025/5/30に作成).ちょっと怖いですね…
(文責:濱中一敏/中村大輔)