お知らせ

2024.03.06 イベント

呼吸器外科・麻酔科合同勉強会 開催報告【教室活動報告】

目の前の霧が晴れたような研究会


 2024年3月4日、麻酔科との合同勉強会「-呼吸器外科・麻酔科合同勉強会- 術後疼痛を考える」が信州大学にて開催されました。

   信州大学内で開催し、ZOOM配信もしました

 オープニングリマークでは、私が20年前に書いた術後開胸術後疼痛症候群に関する稚拙な論文を紹介させていただき、それから信大呼吸器外科における現在の疼痛管理に至る経緯を江口の論文データを交えて説明しました。

  オープニングリマーク 清水(筆者)

 総合座長をまつもと医療センターの近藤先生にお務めいただいた特別講演では、関連病院である長野赤十字病院の志村が術後疼痛に難渋した経験に対する症例報告を発表し、そして麻酔科の川真田樹人教授からは「術後鎮痛を再考する」という題名で素晴らしいご講演を賜りました。

  座長 まつもと医療センター 近藤先生

  特別講演① 長野赤十字病院 志村

 呼吸器外科は高齢者に対する手術が多く、もはや「高齢者外科」と言っても過言ではあるません。また、開胸手術では高い頻度で慢性術後痛を伴うことが知られています。このような状況において、術後合併症の抑制、術後生存率の観点からも術後の疼痛管理は極めて重要です。しかしながら、基礎的な痛みのメカニズムや痛みの原理などに対する呼吸器外科医の理解度は高いとは言えず、川真田教授のご講演を聞いて、まさに「目の前の霧が晴れたような」感覚になりました。

  特別講演② 麻酔蘇生学教室 川真田教授

 特に「痛みは、社会的・心理的要因を含めた、総合的かつ情動的な感覚である」という説明は、これまでの自分の痛みに漠然と持っていたイメージを明確に言語化していただいた感があります。また、侵害受容性疼痛の感覚は「ズキズキ」、慢性術後疼痛の感覚「ピリピリ、チクチク」という表現に関するお話や、神経障害性疼痛には感覚異常を必ず伴うなど、明日からすぐに使えるような実践的な医療のコツを含めてご教授頂きました。さらにはアセトアミノフェンとNSAID における作用機序の違いや、最新の理論にもとづいた術後急性疼痛の管理についてのサジェスチョンもいただき、講演内容を受けて、我々呼吸器外科としてはすぐにでも臨床応用して行こうと心に決めた次第であります。

 今回の様な、麻酔科医、外科医、看護師を含むメディカルスタッフを一堂に集めた勉強会はとても有意義であると改めて感じつつ、なぜ今まで開催していなかったのかと反省するとともに、今後はこのような研究会を積極的に増やしていこうと思いました。また、研究会の後には麻酔科の先生方と親睦を深めることができ、このような事も院内研究会の醍醐味だなと再確認できた研究会でした。準備に携わってくださった麻酔科の先生方や、当日ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました。

(文責:清水公裕)

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