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2024.01.12 イベント

年初のご挨拶【2024年に向けて】

2024年に向けて

 

2024年を迎えましたので、いつも当HPをご覧くださっている皆様へ新年のご挨拶を申し上げます。

先ず、新年に石川県能登地域で発生した地震、羽田空港で発生した航空機事故と、心の痛む災害や事故がありました。被災された皆様や事故に遭われた皆様へ心からお見舞いを申し上げますとともに、犠牲になられた方々とそのご家族、ご親族の皆様に謹んで哀悼の意を表します。

昨年を振り返りますと、日本発の大規模臨床試験の成果により肺癌の標準術式に肺区域切除が加わり、さらには術前・術後の補助療法のエビデンスが相次いで報告され、それら新規治療法が矢継ぎ早に実臨床に導入された激動の年でした。
当教室においてはダヴィンチ手術が300例を超え、ロボット支援下区域切除では、おそらく4年連続で日本一の症例数を達成したのではないかと思います。

  ダヴィンチ手術300例記念撮影

また、教室員が一丸となり次世代型3DCT解析ソフトウェアを用いた区域解剖の研究を行い、その結果を世界に発信し続けました。さらに、その研究成果に基づいた詳細な分類による65を超える種類の区域切除を行い、区域切除の精密さとバリエーションの多彩さにおいては世界一のグループに成長したものと自負しております。また、県内の関連施設においても、区域切除はもちろん、高度な呼吸器外科手術がより日常的に行われるようになり、ロボット支援下手術も増えております。これは、我々呼吸器外科グループが広大な信州における呼吸器外科医療の均霑化に大きく貢献している証だと考えております。

思い起こせば、私が医師になった30年前の肺癌の手術は、早期肺癌であっても大開胸による手術が行われ、多くの肺容量を切除し、入院期間は1ヵ月を超えることもあり、手術後は「痛い、息苦しい」と患者さんが訴えていました。しかし、今では術後3-4日程度で退院する患者さんが多く、術後は「痛くない、息苦しくない」日常生活を送っています。30年前に思い描いた「痛くない、息苦しくない」肺癌の手術をこうして体現できたことは、私自身にとってこの上ない喜びです。このように信州大学の呼吸器外科の医療が発展できたのは、これまで当教室を支えてきた先輩医師らによって築き上げられた呼吸器外科グループの頑強な基盤の上に、個々の医局員らが弛まぬ努力と誠実さが積み上げられた結果ではないかと考えております。

その上で、2024年に向けて我々呼吸器外科教室が歩むべき次なるステップを考えてみたいと思います。まず、最初に教室として行っていくべきことは、「我々の医療を世に問う」ことだと思っています。これまで関連病院を含む教室全体として、がむしゃらに努力して築き上げてきた我々の革新的な医療は、4年を経て多くのデータを蓄積してきました。それらのデータを今後は学会や論文の場で発表し、その価値を世に問い、批判、指摘を謙虚に受け止めながら、より改善させていく必要があります。そして、その「世に問う」という大役は、医会に属するすべての中堅、若手の医師らが担うべきだと考えます。これまで全国学会において、当教室の中堅・若手のスタッフが自ら率先しセッションを主導する姿は見受けられておりません。そのように前に出れば、当然、指導も批判もされますが、雑草は踏みつけられて強くなるものです。野草と雑草の違いは、生息した地域の違いであり、種類が違うわけではありません。同じ種類でも、山の片隅でひっそりと咲いていれば、たまに訪れた人から「綺麗な野草だね」と言われ何事も無く過ごせるかもしれませんが、大業はなせません。しかし、雑草は違います。人の居住地に生をうけた雑草は、多くは踏まれ、抜かれ、排除されますが、それを乗り越えたものは大地に大きな根を張り生き続け、その地域の生態系すら変えることがあります。それは人の世でも同じことで、我々は今、呼吸器外科医療の最もホットな領域である区域切除やロボット支援下手術分野に革新的な変化をもたらそうとしています。それは、まさに既得権益で密集した居住地に雑草として根を張ろうとする行為に等しいと考えています。今後、我々が、信州大学呼吸器外科として、その大業を成し得るためには、中堅・若手のスタッフらが自ら進んで、論文発表はもちろんのこと、全国学会おいても、「我々の医療を世に問う」ため多くの発表や発言を行い、踏まれ、叩かれ、雑草のように強くなり、呼吸器外科の世界にしっかりと根を下ろす必要があるのだと考えています。

さらに、10年後を見据えた教室の発展のためには、今後、日本のみならず世界を舞台に活躍できる環境を整えること、さらには多様性を重んじ、多くの領域の知識を吸収してより強固で厚みのある組織を構築していくことが重要だと考えます。そのため、2024年は国際留学1名、国内人事交流1名、米国就職1名を出す予定であり、既に中国からは留学生2名を受け入れています。人員を学外に出すことで教室全体としては一時的なマンパワー不足の状況になるとは思いますが、信州、また日本の未来の為に「米百俵の精神」で頑張ろうと考えています。

私も、信州大学に就任いたしましてから今年で5年目を迎え、2024年度は大きな節目の年でもあります。その上で、本年は、限られたマンパワーの中、教室スタッフ一人一人の力を結集させ、その総合力で教室のさらなる発展を目指そうと思っています。また、2024年度からは、外科の横断領域学会として唯一会員数が増加している日本内視鏡外科学会の理事に就任させていただきました。

  内視鏡外科学会 理事就任

呼吸器分野の理事はわずか3名であり、その責任の重さに身の引き締まる思いです。しかし、この大役をお受けしたからには、呼吸器外科のイニシアチブを高め、内視鏡外科学会発展のために身を粉にして働きたいと思います。

最後に、今年は全国学会「第31回日本呼吸器外科医会冬季学術集会」において、教室としては初となる主幹を務めます。引き続きこういった教室の活動へのご理解・ご支援の程よろしくお願いいたします。

(文責:清水公裕)

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