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2023.03.07 日常

物事には理由がある【3月コラム】

コラム記事についてのご案内
今月から当HPをより活性化すべく、コラム記事を発信していこうと思います
発信頻度や内容については特に決まっていませんが
「〇〇先生の△△にまつわるお話が聞きたい」、「××について語ってほしい」、など
リクエストがあれば医局または医局員へ遠慮なく気軽にご一報ください!
第1回コラムは、当教室教授である清水松本市の風景を添えてお届けいたします。
(当HP管理人 原大輔より)

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物事には理由がある ~松本城の観光人力車に乗ってみた~

 

とある日曜日、いつもの犬の散歩の途中、松本城の観光人力車が目に入りました。
松本城は家から近く、愛犬の散歩コースということもありほぼ毎日通っていますが、日頃から気になっていた人力車の方に愛犬も一緒にどうぞと言われたので、突然思い立ち乗ってみました。

 
 松本城観光人力車上からの1枚

松本に来て4年が過ぎ、信州のこと、松本のこと、松本城のことも分かってきたと思っていましたが、人力車の方に松本城に関する歴史やトリビアな話を聞くと、まだまだ知らない話が松本城には沢山あるなと感じました。
そこで今回は、人力車の方から聞いた松本城に関する素敵なトリビア話を3つほど紹介したいと思います。

 

太鼓門の名前の由来:最近耐震工事を終え、通行が可能になったお城の市役所側の太鼓門のお話です。なぜ太鼓門というかと言いますと、そこから時間を知らせる太鼓を鳴らしたことに由来するようです。昔のお城は、お役所みたいなもので、お城で働く武士なども仕事が終わると、城外に出なくてはなりません。お城にいるのは、お殿様と家族と警備の人くらいでした。今の働き方改革と同様に、残業は一切禁止で就業後にはすぐに城外に出なくてはなりません。「働き方改革」を先取りしていたのかと感心しましたが、実は警備の問題だったようです。お役所仕事が終わると同時に太鼓門を閉め、朝10時までは門を開けないという決まりになっていたようです。

 

松本城の北側は、外堀が無い:松本城の内堀と外堀は北側でつながっており、北側には内堀しかない状態です。これには防衛上の観点を加味した経費削減の意味合いがあったようです。当然、以前は外堀のさらに外側に惣堀があり、城の北側でも二重の堀はあったようですが、それでも他の東南西に比べれば、堀が1つ少ないことに変わりありません。これは松本城の北側は、今も昔も高い険しい山が連なっており、敵が大勢で押し寄せることは難しいだろうという予測が理由だそうです。今と違い、山から松本に抜ける道は、せいぜい人や馬が1列で通れるくらいの山道しかなく、その道を大軍勢が通り、松本城に押し寄せることは事実上不可能だったようです。戦争には3倍の法則というものがあり、守りを固めている軍勢を責めるには3倍の兵力が必要と言われています。松本城下には常時4000名の侍がいたようで、この法則によると、松本城を落とすためには1万2000名の兵が必要であり、その人数が山側から攻め入ることは難しいだろうという合理的判断のもと、北側には外堀が作られなかったとのことです。

 
 外堀と内堀の合流点

 

お城の鯱はレプリカで避雷針:松本城の中を観光された方は知っていると思いますが、本物の鯱はお城の中に展示されています。そして今天守の上にのっている鯱はレプリカです。さらによく見ると尻尾の先には避雷針がついており、お城の西側の壁にはアースが地上まで伸びております。松本城の高さは正確には29.4mであり、市の条例でそれ以上高い建物は周囲に建ててはいけない決まりになっていますので、言わずもがな松本城近辺で一番高い建物は松本城になります。ゆえに、松本城に雷が落ちる可能性が高くなるわけで、それに伴う火災は絶対避けなければなりません。そのため鯱はレプリカにしてあり、避雷針が設置されているようです。

 
 松本の天守閣の鯱とそれに連結しているアース線(お城の壁を伝わって地面まで伸びている)

 

昔の日本人の知恵の深さには本当に驚かされると同時に、物事には必ず理由があるということを再確認できました。私自身、手術においてメスの持ち方一つについても、そこに理論と理由があると後輩たちに教えています。なぜ、その器具をこの場面で選択したのか?なぜその方向に剥離を進めるのか?など、いつも私に自分の手術手技の理由と理論的根拠を聞かれ、後輩たちはたじろいでいると思います。しかしながら、やはり物事には理由があり、その中で最良があり、それを自分で考え、納得し習得するのが一番だと思い、質問をしながら自分でも勉強を続けております。これからも自問自答は常として、後輩の先生方と一緒に物事の理由と最良の方法を突き詰めていければ良いと思い直した週末でした。

 
 おまけ:レーザーマッピングされた松本城

 

(文責:清水公裕 / 写真撮影:清水公裕)

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